ひょんなことから衛宮切嗣の養子となった横島。
彼の存在は士郎たちにどんな影響を及ぼすのか堂々の第二話。
はじまり、はじまり。
横島忠夫がこの世界に来て約十年がたつ。
彼がいた世界とこの世界の大きな相違点はGSという職業が存在していないということだろう。
そう、それ以外は元の世界と余り変りが無い平凡な世界なのだ。
少なくとも表の世界では・・・・
横島と士郎の義父である衛宮切嗣は魔術師だ。
魔術とは人為的に神秘・奇跡を再現する行為の総称で、魔術師は自身の中または、外界に満ちた魔力を変換する事によりその力を行使できるのだ。
士郎は、切嗣のような魔術師になりたかったため
切嗣に修行を頼み込んだが、切嗣は難しい顔をして教えようとしなかった。
しかし、ついには根負けして士郎に修行をつけることになった。
横島も頼んだのだが、切嗣は『君は自分の力を信じた修行をしたほうがいい』と意味深なことをいわれたため、自己流で霊能力の修行を開始。（もっとも戦い方は切嗣から教えられたが）
そして、いつもの朝が始まる
ジリリリリリリリリリリりっっ!!！
「ふわぁぁぁ」
横島の一日は目覚まし時計に起こされる事から始まる。
この世界に来てから横島は健康的な生活をするようになっていた。
そのお陰か今までの不規則すぎる不健康な生活から抜け出たために更なる霊力のパワーアップが起きたのだ。
どうやら、今まではあの汚い部屋などで自然の雑草のように鍛えられていたが、本来はこうしたきちんとした生活の中でしっかりした修行をするほうが
向いていたようだ。
「ふう、六時十分前か、そろそろ起きるかな」
もそもそと布団から這い出してパパッと着替える。
「うーっさぶさぶ。」
と、その上から愛用の半纏を着ることも忘れないが。
そうして、日課の修行を行うために道場へ向かうと、見知った顔と出会った。
「横島先輩、お早う御座います。」
「おう、お早う、桜ちゃん。士郎のとこに行くのかい？」
自分たちの一つ後輩にして衛宮士郎の押しかけ女房、’間桐桜’である。
「はい、今行くところです。それから、朝ご飯の支度をしちゃいますね。」
「いつも悪いねえ、朝ご飯まで作らせちゃって」
「いえ、私が好きでやっている事ですから。」
そう、この衛宮家、料理ができるのが士郎だけだった、一年半ぐらい前から時々、桜が朝ごはんを作りに来てくれるようになったが。
ちなみに以前、横島が作ったときには『料理の名を借りた産業廃棄物』『食材の冒涜』などと言われたために『永久調理禁止令』がだされた。
「うう、えー娘やー」
涙ぐむ横島、どうやら彼の中での桜の位置づけはおキヌちゃんのようだ。
「もう、大げさですよ横島先輩、それじゃあ行きますね。」
「うん、頑張ってな」
桜を見送り、道場へ向かった。
彼の主な修行は、約十分間の霊力の集中と文珠の制御である。
この世界に来てからは切嗣仕込みの闘い方とこの修行を繰り返している。
これを士郎が来る前に済ませる。
霊能力のことは周りには秘密にしておいた。
この世界に霊障はないし、魔術と同じようにあまりおおっぴらにできるものじゃないからだ。
士郎にはただの筋トレだといっている。
「あ。兄貴、もう終わったんだ。」
修行を終えた頃に士郎がやってくる。
「まあな、お前はこれからか？」
「ああ、すぐ終わらせろよ？桜ちゃんが飯作ってくれてるんだから」
「わかってるよ」
そういいながら自分の日課を行う士郎。
横島は汗を流しにシャワーへいった
そして飯時、何時もの如く腹をすかせたタイガーがやってきた。
「お早う、ご飯食べにきたよ～」
能天気な声で挨拶するのは士郎の担任である’藤村大河’、通称タイガーである。
「お早う御座います、藤村先生」
「お早う、藤ねえ」
「おはよーす。大河さん」
「うぬぬ、名前で呼ぶなって言ってるのにー」
「すんません！！悪かったですから、そのスタンガン入りの警棒をしまってください！！つかどうしたんですかその警棒！？」
警棒もってにじり寄る大河に向かって土下座する横島。
「ふふーん、商店街のくじ引きで当てたのを思い出したので持ってきたのだー」
かっこいいでしょうとポーズをつける大河
「まあ、そんなことよりご飯、ご飯」
上機嫌で食卓に着き新聞を開く。
それから、士郎がオイスターソース入りとろろ汁かけご飯を食べて悶絶したりして朝食は終わった。
学校で士郎と分かれて別行動をする、士郎は役員でもないのに生徒会の手伝いで学校の備品直しに生徒会長’柳洞一成’と共に行った。
横島はこのヒマな時間中にブラブラと校内をうろつくのが日課になっていた。
と、ぶらついてる途中で珍しいやつに出会う
「お、凛」
「げっ・・・横島君」
心底いやそうな顔をしたのは’遠坂凛’御嬢様の見本といったイメージで有名な同級生だ。
「珍しく早いな」
「・・・まあね」
「というわけで、お早うのキッスをばっ～！！」
「何がっ！というわけだっ！！」
「へぶしっ!!」
ルパンダイブ行うが、遠坂は絶妙なタイミングでカウンターを返す。
「嗚呼、痛いけどなんか懐かしいぃ！」
「うう、朝っぱらからこいつとあうなんて・・・・」
実際の遠坂はこんな感じに結構フランクだったりする。
「それに、毎回聞くけどなんで私の事を名前で呼ぶのよ！」
「いや、まあなんとなく。」
「うーっ・・・はあ、もういいわよ」
諦めたようだ。
「あ、そうそう、あなた。一昨日弓道部の女子の着替えとか、覗いてたりはしないわよねえ?」
思い出したように横島に聞く遠坂。
ギクッ!
「ハハハ、サテナンノコトヤラ・・・・」
カタコトノの日本語で返す横島。バレバレだ。
「やっぱりあんただったのね、綾子が言ってたわよ『今度覗きに来たらふん縛って新入部員の的代わりにしてやる』ってね。」
「うっ！」
「さっさと謝って来たら？今ならまだ弓道部の雑用で許してくれるかもよ。」
「うう、それしかないのかやっぱ」
「自業自得よ、あきらめなさいね。」
「わかった。早速言ってくるわ。教えてくれてサンキューな！」
そういって、風のように去っていった。
「はあ、あいつは懲りずにまたやりそうね。綾子も苦労するわね・・・」
しみじみと愚痴を零しつつ、遠坂は教室に入っていった。
その後、結局遠坂の友人にして弓道部主将である’美綴綾子’にしばき倒され、これから三日間弓道部の雑用を押し付けられる事になった。
これでも軽いほうだろう。
何故なら初犯でつかまったときなどは教師（タイガー）含む集団公開リンチとなり、停学処分まで喰らってしまったのだから。
それ以後、運動部女性更衣室の覗き、発見、逃走、逮捕、リンチは年中行事になってしまい、女子からは『Ａ級戦犯』男子からは『英雄』としていくつもの勲章と反省文のレコードホルダーとして穂群原学園の名物男となっていた。（もちろんその他にも、その無類の女好きの性格から、ナンパの撃墜マークならぬ撃沈マークが全女生徒の半分を超えた男としても有名だったりする。）
この日は普通に授業を終えた後に弓道部の雑用にバイトで、横島の一日はおわった。
あとがき
すいません。導入部分で三話も使ってしまいました。この事を深く謝罪したいと共に、次回こそサーヴァントを出せるよう努力していきたいと思います。どうか呆れずに付き合ってやって下さい。
（最初は原作どうりにランサーと闘う事になります。）