「まぶまぶ 1(まぶらほ)」参式 (2004.11.23 12:40)
式森様。朝です。お起きになってください」

凛としながらも、涼やかな声・・・聞いていて何度も聞きたくなるような声だが、朝のまどろみには勝てないようだ。ベットの中の主はゴソゴソと動きながらも、起きようとはしない。

「式森様」
「う〜〜〜〜〜ん」

式森様と呼ばれた人物・・・式森和樹は、なおも起きない。和樹を起こそうととしている女性・・・・・何故かメイド服だったりもするが、それはさて置き、時計を見て顔をしかめた。少しだけ思考をめぐらし・・・・・

チュ・・・

ほのかな柔らかい感触と湿り気・・・・が、式森の頬に伝わった。

ガバァ!!と跳ね起きる和樹。女性の唇が触れた頬を押さえながらいった。

「リ・・・リーラ!!!」
「おはようございます。式森様」

リーラと呼ばれた女性は軽く会釈するし、微笑んだ。和樹は顔を赤くしている。。

「・・・・おはよう」
「はい、朝食の準備はすぐ出来ますので」
「あああ・・うん」

と、掛け布団をはごうとした和樹の動作が止まる。

「・・・・・?どうしました。式森様」
「いや・・・男の朝の生理現象・・・・・」

理解したのかリーラも赤面してしまう。

「お・・・お召し物は・・・お・・置いときますので」

和樹が通う学校の制服を置き。寝室のドアの前で一礼するとそそくさと出て行く。

「はぁ・・・・」

と、ため息をしつつも学生服に着替える式森だった。




栖桜学院

日本国内でも1〜2位を争う『お金持ち』が通う学校である。進学率も高く一般的な家庭の人間も多少は居るが、教育費の高さから限りなく0に等しい。ちなみにクラスはA〜Dまであり、Aは成績優秀、家柄も上等で無ければならない。B,C,Dとなるにつれ、それは下降する。

で、和樹は自他共に認める・・・・・Aクラスだ。

「でわ、お気をつけて」

リーラがベンツSL600の前で深々と一礼した。和樹は微笑で返した。

「うん、夕食楽しみにしてるよ」
「・・・・はい」

リーラも微笑みで返した。

学校にしては不自然なほどに巨大な門にゴシック風の校舎。下手なヨーロッパ貴族が住んでいた邸宅、顔負けである。だが、式森の実家と比べれば小さく感じる。ちなみに今住んでいるところは学校と同じくらいの広さだが。

「よ!!式森。おはよう!!」

抱きつかれ、和樹が振り向くと金髪の男が居た。

「中本か・・・・・・おはよう・・・つ〜〜か、抱きつくな」

和樹は振りほどくと、中本と呼ばれた男に足蹴りをかます。さらに倒れた中本を踏みつける。

「嗚呼〜〜〜〜♪Myハニーの〜〜〜・・・・」
「死ね」

和樹は冷酷に宣言し、彼の後頭部を踏みつけ地面の中に埋める(コンクリート)なかば嬉しそうに地面にめり込んでいる男を尻目に教室へと向う和樹だった。


放課後・・・・・


この学校では放課後、一緒になって遊ぶと言う事は稀である。和樹もその一部と言っていいのだが・・・

「あれ?・・・・・珍しいな。リーラは遅刻か?」

和樹はあたりを見回すが和樹だが・・・いない。

「うん?」

一人の少女に目に入った。葵学園の制服だ。魔法関係を強く教えている学園だ。和樹の兄、姉は高い魔力と兄29万回、姉30万5千回・・・と言う常人離れした魔法使用回数を保持していたため、葵学園に通っていたが、和樹は7回と言う・・・ある意味、常人離れした少ない回数を保持しているため和樹は栖桜学院に入学した訳だ。

で・・今、彼の目の前にいる少女は和樹を見止めると。ニッコリと微笑んだ。フッワとスカートの裾が揺れ和樹に正面を向ける。

「式森和樹さんですね♪」
「え・・・・え・・・う・・・・うん」
「お嫁さんになりに来ました♪」








しばらく、妙な静けさが二人の間を流れた。和樹が復活をとげ、口を開こうとした時、別な人影が現れる。その人物は優美な細い指で和樹の顎を上げる。背が和樹よりも少々高い、先ほど『お嫁さんになりに来ました』と爆弾宣言した少女は美少女と言っても良かろうが、こちらは美人と言ったほうが適切だ。制服のデザインが少女と同じ事から葵学園と言う事が分かる。

「ふ〜〜ん、アンタが式森和樹?」
「え?・・は・・・はぁ?」
「さぁ・・・シに行きましょう」
「シに・・って・・え・・その前に、貴女、誰ですか!?」
「うん?私は風椿玖里子・・・・コレでいいでしょう?」

顎から手を離し和樹の手首を掴むと、歩き出そうとするが・・・・・・

「チョット待ってください!!玖里子さん!!」
「あら?いたの?夕菜」
「白々しい!!和樹さんは私がお嫁さんになるんです!!」
「あ〜〜ん、いいじゃな〜〜い。上手くいけば一発で済むんだし♪」
「不潔です!!!」

ヒートアップする二人。魔力が集まりオーラとして彼女等の周りに発生する。なんだか、よく分からないが、危険な匂いがするので和樹が逃げようとした時・・・

チャキ

軽い金属音。和樹が目線を下にやると独特の芸術的なまでに湾曲の刀身を持つ刃物・・・日本刀が和樹の喉下に突きつけられていた。それを持っているのは頭一つ分とはいかないものの、背の低い少女。和服・・・・それに似合う髪形。笑えばさぞ可愛いだろうが、彼女の眼光は鋭い。

「・・・・久しぶりだな。式森」
「え・・あ?凛ちゃん?」

と、和服の少女は一瞬だけ刀をひくが・・・すぐに素早い斬激を繰り出した。和樹はそれを鼻先でかわす。

「・・かわしたか・・・・・だが、コレなら!!」
「ちょ〜〜〜!!!!!」
「やかましい!!!約束を忘れたか!!」

和樹が叫ぶが少女は聞き入れない。刀を構えなおすが・・・・・

「凛さん!!和樹さんを傷つけるのは許しませんよ!!」
「ちょっと、凛!!ヤるなら、私がシてからにしてくれる!」
「御二人とも黙っていてください。コレは私の問題です!!!」

三人に魔力が触れ合い・・・・電撃のようなスパークを放っている。殺気と威圧感が下校中の生徒を門へと近づけようとしない。和樹も同様で・・・・

(こ・・・怖い・・早くリーラ来てくれ〜〜〜〜〜!!)

と、和樹が懇願した時、もうスピードで走行してくる車。朝、和樹が乗ってきたベンツSL600と・・・・・Sp.Pz.2ルクス装甲偵察車にTpz.1フクス装甲兵員輸送車だ。式森家の家紋とM,M,Mのロゴが入っている。

和樹の顔に喚起がわく。

ブレーキ音・・・・そして、ベンツSL600とTpz.1フクス装甲兵員輸送車のドアが開かれ、G36・・・・ドイツ連邦軍が正式採用している自動小銃で武装したメイドさんが出てきて、三人の少女を囲む。リーラは和樹を守るように和樹の前に立つ。手にはワルサーP38が握られている。

拳銃を彼女達・・・三人に向ける。

「ご無事ですか?式森様」
「う・・うん」
「申し訳ありません・・・・・よく分からない連中に妨害を受け、遅れました」
「いや・・・・来てくれて嬉しいよ」

少しだけ、和樹の方を見て微笑む。だが、すぐに厳しい顔つきに戻り口を開いた。

「貴様等・・・・なんのつもりだ」

銃にもめげずに夕菜と呼ばれた少女はキッとリーラを睨みつける。

「貴女こそ、なんですか!!!急に現れて」
「私は式森様のメイドだ」
「メイドが、なんです!!わたしは和樹さんお奥さんなんですよ!!」
「本家から式森様が御結婚された連絡は受けていない」
「大体!!和樹さんにメイドなんか似合いません!!」

リーラと夕菜の間に殺気が発生するが・・・・・チョイ、チョイと玖里子が夕菜の引っ張た。

「ねぇ?夕菜ちゃん。和樹が栖桜学院にいるか理解、出来ている?」
「特待生か、なにかじゃないですか?」
「・・・・・あのね、夕菜ちゃん式森家って言ったから世界で三指に入る大富豪よ?メイドなんて当たり前にいると思うけど?」
「・・・・・・・・・そんなの関係ありません!!」

リーラが薄く笑った。和樹は直感した・・・・ヤバイ・・・と

「貴様等が死んだところで、我々は露にも思わんぞ」

リーラが左手を上げると自動小銃の銃口を上げ、引き金に指がかかる。和樹が流石に止めかかる。

「ちょ〜〜と、待った〜〜!!リーラ。流石に不味いって。特に凛ちゃんは!!」
「し・・しかし・・・・・」
「だめ!!!」

リーラは少々不満げな顔をするが左手を下ろす・・・と、同時にメイド達も自動小銃を下げる。和樹はそれを見て、ホッと息をつく。和樹は彼女達・・・3人の方に向くと疲れたように言った。

「話が見えないけど・・・・凛ちゃん・・・コレは、どういうこと?」

ショボンとした凛が口を開いた。

「私の本家から連絡があってな・・・・・・・この御二人の家が、お前を会得しようと動いた・・・と言ってきたんだ。・・・・・お前と私は家同士でもう決まっているが・・・一番に意見が反映されるのがお前だ。御二人に比べれば・・・女性として・・・とか、魅力に欠ける部分が・・・ある。だから・・・だから・・・・」

目じりに涙が溜まっていく。和樹は先ほどよりもさらに慌てるが、そっと、凛を抱き寄せる。

「大丈夫だよ。僕は凛ちゃんの事、好きだし。家同士が決めた事でも、僕は絶対に守るよ」
「・・・・うん」

和樹は凛の頭をやさしく撫でる。

「ちょ〜〜〜と、待ってください!決まってるってなんですか!?」

和樹は凛を抱き寄せたまま言った。凛は仔犬のように丸まっている。

「え?僕と凛ちゃん・・・婚約してるんだけど?」
「なぁ!?何を言ってるんですか!!私は・・・和樹さんと約束したんですよ!!」
「へぇ?・・・・・そんな事あったけ?」
「雪・・・・雪を降らせてくれたじゃないですか!!私の為に!!!

和樹はしばらく考え・・・・・・悩む。

「あああ!!・・・・思い出した!!あの娘ね・・・・・・そんな事もあったね。あの時はリ・・・・じゃない。魔導書なかったし。魔法回数を消費しなきゃならなかったしね」

和樹はウンウンと頷く。

「夕菜さんのこと・・・・知ってるのか?」
「ほら、うちの爺さん達がよく酒の肴にしてじゃないか」

凛も思い出したのか・・・・・和樹に身を委ねたままの体制で夕菜の方を見た。夕菜は俯いているが・・・・・体が小刻みに震えている。

「フフフフフフフフフフフフフフフフフフフフフ・・・・・・・・・いいでしょう。敵が多いければ多いいほど・・・・愛は深まるものです・・・クククククククク。今日の事は・・・・・シッカリと覚えとおきますよ・・・・今日は分が悪いのようなので撤退しますが・・・・・」

夕菜は悪魔的な笑みを残し姿を消した。

「な・・・・なんだ、今の?・・・・リーラ」
「はい」

和樹はリーラを呼ぶ。二、三連絡し

「わかりました。仰せのままに」

リーラは深く頭を下げると、部下のメイドに指示を出し下がらした。

「あ・・・そうだ、凛ちゃん。今日、家に来ない?明日、休みでしょう?」
「あ・・・うん。いいのか?」
「うん♪」

玖里子がそこに割って入った。

「ねぇ?私も行っていい?」
「いいですよ。夕食でも御一緒にしましょう」

和樹は微笑んで車の方へと案内した。



「ふ〜〜ん、じゃ・・・あんた達、小さい頃から知り合いなんだ」
「あ・・・・はい・・まぁ」

凛が頷く

此処は客間・・・である。普通の教室を4つ繋げたような広さを持つ客間に和樹、凛、玖里子がいかにも高級そうな椅子に座り紅茶をたしなんでいる。リーラは和樹の後方・・・・5歩ほど離れた場所に、出口に一人にメイドが立っている。

「そうなんですよ、玖里子さん。小さな頃からねぇ〜♪凛ちゃん」
「うん?ああ・・・」

と言って凛は顔を紅くして俯いてしまう。玖里子はそれを反眼で見ながら思った。

(う〜〜〜ん、コレは張り込める余地・・・あるのかしら?まぁ・・・・情報によれば・・・チャンスはありそうだけど)

彼と彼女を見ていると・・・・・新婚さんみたいだ。

「そ〜言えば・・・・・・・なんで、僕の事を?」
「ああ・・・・それはね」

玖里子の話によれば、栖桜学院に探査魔士がサーバーに入り込んで、生徒のデーターを流した。そんな中に和樹のデーターがあった。データーのうちに遺伝子情報もあり数々の魔導師達が交じり合っている事が分かった。それで、家柄もさることながら、魔導師として優秀な子供輩出できるかの可能性が高い。

「・・・・・と言うことなのよ」

和樹はどうも納得いかないような口調で言った。

「でも・・・・・なんで、僕なんですか?兄さんの方がいいじゃないですか?まだ結婚してないし」
「フフフフン・・・・・ちがうのよ」

玖里子は和樹に寄り添うと・・・・・真っ白な手をYシャツの中に入れ・・・ユックリと動かし、耳元で囁いた。

「和樹・・・・アンタは特別なのよ・・・・・あのメイド・・・・じゃないわね。魔導書に選ばれたでしょう?」

和樹の表情が一変する。硬い視線が向けられる。

「一体どこまで?」
「ふふふふふふふ・・・どこまでかしらね?」

手をYシャツから抜いて首へとかけ・・・・・・妖艶に微笑んだ。そして、ユックリと唇を近づける。

チャキ

凛の刀が玖里子と和樹の間に入った。

「和樹・・・・・き・貴様〜〜〜〜〜!!!!わ・・・私の前で・・・他の!!・・・玖里子さんもハレンチな!!」
「り・・・凛ちゃん!?ちょ・・・コレは・・く・・玖里子サン勝手に」
「あ〜〜〜ん、怖いわ〜〜和樹〜〜〜〜!」

和樹の腕にしがみつき・・・・・豊満な胸を押し付ける。柔らかい感触が腕に伝わり、顔を紅くする和樹。

「き・・貴様ら〜〜!!」

騒ぎ始める和樹たちを・・・・呆れたような眼で見ているが・・・凛の性格からして最後の一線を行かない事は承知なので、静観している・・・なんだか、面白くなのは気のせいだろうか?・・・と思いかけたが、そこに部下のメイドが来た。彼女はリーラに敬礼をして

「先ほど、襲撃を仕掛けたきた者たちの組織がわかりました」

そう言って、部下のメイドはリーラにレポートを手渡す。

「あのパジャマどもか・・・・厄介だな」
「はい・・・いかがなさいますか?」
「・・・・・・・・・・・屋敷周辺の警備の強化だ」
「は!!」
「和樹様」

リーラが和樹の名前を呼んだ。和樹達・・・三人は妙な絡み方で止まる。

「な・・・なに?」
「はい、機械化部隊の使用の許可を願います」
「機械化・・・って、戦車だよね・・・うん・・いいよ」
「ありがとうございます・・・ああ・・それと」
「?」

和樹が不思議そうな顔をした。リーラにしては怖いほど満面の笑みを浮かべていた。

「今日の御夕食はピーマンの肉詰めでございます」
「へ・・・・・!?あの・・リ・・リーラさん?」
「楽しみにしていてください」

ちなみに、和樹はピーマンが嫌いである。




夕食である・・・・なぜは知らないが玖里子は帰宅してしまった。不適な笑みを浮かべて。

「うにゅ・・・・・」

和樹は対峙していた・・・・ピーマンの肉詰めと。・・・・チラとリーラを見るが軽く眼を閉じ静観している。

「ねぇ・・・凛ちゃん。ピー・・・・」
「自分で食べろ」
「う〜〜〜・・・・・・・」

和樹は恐る恐るピーマンの肉詰めを口に運ぶ、そして同時にスープで流し込もうとするが・・・・・・・

「式森様・・・・スープで流し込もうなど・・・無粋なことはおやめください」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

和樹は噛まずに飲み込んだ。眼には涙が溜まっている。凛はすでに食べ終えており、口を拭きながら感想を述べた。

「大変、美味しくいただいた・・・ありがとう」
「いえ・・・お褒めの言葉・・・ありがとうございます。料理長共々・・・・・よろこぶでしょう・・・・・・」

リーラが言葉を止め、和樹のほうへと視線を向けた。

「お口にあいませんか?」
「・・・・・・・・・・いや・・・この緑色の物体がね・・・・・」

ツンツン・・ピーマンをホークで突っつく。リーラがため息をついて

「仕方ありません。心苦しいですが・・・・お残しになって結構です」
「うう・・・・ゴメン」
「その代わり・・・・デザートとお夜食はいりませんね?」
「っへ?」

和樹の目が点になる。リーラはそそくさと和樹の皿を片付けてしまう。和樹は呆然としたままソレを見送った。


グ〜〜〜〜〜〜〜〜

グ〜〜〜〜〜〜〜〜

和樹の腹が鳴る。

「お腹減った・・・・・・・・・」

和樹はへばっていた・・・・・キングサイズのベットに転がっていた。夕食はさほど食べていないので腹の虫が鳴りっぱなしである。

「う〜〜〜」

何もする気が出ない・・・・・が

コンコン

和樹の部屋のドアを叩く音がした。

「はい?ど〜〜〜〜〜ぞ」

ドアが開かれると、入ってきたのは凛だ。真っ白なバスローブに身を包んでいる。髪はシットリしていて・・・・・わずかに濡れ、湯気が出ている。肌の方も少しだけホッて入るようだ・・・すこしだけ、紅くなっている。

「や・・やぁ・・凛ちゃん・・・どうしたの?」
「いや・・・・・・その・・・・・」

頬に紅みをましながらもベットの脇に座る。和樹は身を起こし、凛の横に座る。

「どうしたの?」
「いや・・・・その・・・・・・」

和樹は凛の首筋・・・・・・長い髪を自分の鼻に近づけ、香りをかいだ。そして、腰に手をやり自分の方へと引き寄せ、頭頂部の香りをかぐ。

「な!?・・・式森!!」

真っ赤になる凛。

「う〜〜ん、だって好い匂いだし・・・凛ちゃん」

抱き寄せた形のまま和樹は凛をベットへと押し倒すと、和樹は愛撫を頬。首、胸元へと移して行く。胸元に左手を滑り込ませ凛の双丘の片方に手を添える。

「お・・・お、式森!!!!!あ・・・・うん」
「う〜〜ん、しばらくシてなかったじゃないか」

和樹が絶妙なタッチで指を動かす・・・と、少しだけ凛が抵抗したためかバスローブの右肩が落ち・・・凛の真っ白な肌が露わとなる。ちなみに・・・ノーブラ和樹はスッと肩口を舐めと・・・凛の体が震える。

「あ・・・・う・・くぅん、式森・・・・」

トロン・・・とした声で凛は声を上げる。それで気を良くした和樹がもう片方をずらすと凛は上半身は何も身に着けていない状態となってしまう。凛が手で胸元を隠そうとしたが、その前に和樹が白い双丘の谷間に顔をうずめ、その間を舐め、左手で右の胸を・・・・・右手で凛の秘部に手を当てようとした瞬間・・・・

コンコン

と、ドアをノックする音・・・・・・・二人はガッバと離れて服を調える。

「ど・・・どうぞ・・・・」

ドアが開かれ、入ってきたのはリーラだった。銀製のテーブルボードを持っていた。その上には皿が二つ・・・パンとスープらしい。

「御夜食をお持ちしました・・・・・」

リーラは二人を見る。少々服が乱れ・・・わずかに乱れているシーツ。

「・・・・・・・・・・・御夜食の途中だったようですね。・・・それでは」

と言って立ち去ろうとしたが・・・・和樹は呼び止めた。

「わぁ〜〜待った!!!!リーラ!!食べるよ!!」

リーラは少し冷めた眼で言った。

「しかし・・・お楽しみを邪魔では?」
(うう・・・・視線が痛い)

リーラの目線が・・・かなり鋭い眼になっていた。リーラは和樹に接触する女性に対してかなり厳しい・・・・・例え和樹の婚約者でもだ。和樹はリーラに視線を向けた。

「・・・・・・う」

リーラは呻いた。和樹が向ける視線は・・・・仔犬がむける視線だった・・・・和樹は・・・・自分の主人は困る事が起きると・・・・・この視線を向けてくる。リーラはわずかな抵抗を試みたが・・・・・・結局、負けてしまった。

「どうぞ・・・・・」

パンとスープが置かれたテーブルボードを机に置く。

「ありがとう・・リーラ♪」

和樹は満面の笑みを浮かべて言った。その笑顔に顔を紅くするリーラ・・・・・・だが、気を取り直してリーラは凛に視線を向ける。

「神城様・・・・・式森様はこれからお仕事がありますので・・・申し訳ありませんが・・・御用意したお部屋の方へ・・・お願いできますか?」
「な・・・ちょっと・・ま・・・」

部下のメイドが入ってきて有無を言わせずに凛を連れて行った。

「あの〜〜リーラさん?仕事って?」
「はい、先ほど本家から重工業部門の全代表権が委譲されましたので・・・書類の方を片付けていただきます」
「はぁ?」

リーラが手を叩くとメイドが入ってきて大量の書類が置かれる。

「・・・・・・・・・ま・・・まさか、夜食を用意してくれた訳は・・・・」
「はい。重要な書類なので間違いがあっては困りますので」

和樹はうなだれる。40センチはあろうかという・・・厚さの書類が・・・・・ある。和樹はパンとスープをお腹に詰めると。ペンをとりサインを始めた。


数時間後・・・・・


「お・・・終わった・・・・」

机の上に倒れる和樹。リーラは最後の書類に眼を通し言った。

「お疲れ様でした。コレですべて終了しました」
「・・・・・・・・・・・・・凛ちゃんは?」
「もう、ご就寝されているようです・・・・・」

和樹はその報告を聞くと、少々拗ねたような顔をするが・・・・・・クルッとリーラの方に身体を向ける。

「責任は取ってもらうよ?」
「はぁ?・・・え?・・・・・きゃ」

軽い悲鳴をあげるリーラ。和樹がリーラの手と腰を持って自分の方へと引いたのだ。和樹は自分よりも背の高いリーラをほぼ自分と同じ位置に頭部を持ってきて軽く微笑む。

「あの・・・式森様?」
「ふふふふふ」

和樹は両手を軽くリーラの頬を包むと、呆けているリーラの唇を奪う。

「あ・・・うううん」

いとも簡単に和樹の舌が侵入してきてリーラの唾液を奪い、自分の唾液を移す。しばらく深い接吻を交わすと和樹から唇を離さす。白く輝く液体が二人を結んでいたが、しばらくすると消えてしまう。

「さて・・・まだ、夜は長いし・・・・・・ね?」
「あ・・・・はい」

部屋の電気が消され・・・・・・夜の闇が二人を包んだ。



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